読書日記。

仕事を辞めて一月あまり。
字もろくに書いていなかったことに今、気づく。
ここ数日、ようやく本を開く気になった。
辞める前はずっと、時間が出来たらいくらでも本を読める!
と、楽しみにしていたのに。
実際はといえば、日常最低限の雑務をこなし、
あとはただひたすらだらだらするのみ。
これを燃え尽き症候群というのか。。

ともかく、今はようやく、本を読もうという気が起きた。
それは私にとって、本来息をするくらい自然なこと。
よかった。気持ちが楽になっていく。

フィツジェラルド短編集
野崎孝/訳 
新潮文庫

本棚にある文庫のなかから、いつ購入したか、果たして読んだのかも
もはや定かでない一冊を選ぶ。
長い間「フラニーとゾーイ」がバイブルだった私にとって
フィツジェラルドは気になる作家のひとり。
サリンジャーを書いたものは無数にあるが
必ずといっていいほど、出てくるこの名前。

直感で選んだ一冊だったが、今の私にとてもとてもよく合っていた。
不思議なほどだ。
時代は第一次世界大戦後、アメリカ。
南部と北部の人間性の違い、若者のもつ気怠さ。
最初に読んだ時のことを思い出した。
もうたぶん、10年も前。その時はこの作者が持つ気怠さが好きではなかった。
人生を半ば放棄しているように思えた。
当時の私には、人生も、恋も、何もわからなかった。
今だってわからないのだろうけれど、
でも、このフィツジェラルドがわからないほどでは、ない。
再読して、改めて10年という月日の長さを感じた。