古代ギリシアの牧歌物語
ダフニスとクロエー ロンゴス/作 松平千秋/訳 岩波文庫 今日も棚から。 紀元前後から5世紀頃にかけて、地中海世界の各地で書かれた 数多くの大衆読物。そのなかでも有名なもののひとつだという。 私はそのタイトルを、ラヴェルのバレエ音楽として知っていた。 興味を惹かれて本書を買い求めたのが、これまた10年以上前。 こうして自分の本棚を図書館代わりに、じっくり眺め、選んで 読める日を夢見ていた。 それが叶ってとてもうれしいけれど、なんだか老後みたい。 そんな今だからこそ、読めた一冊なのかもしれない。 ダフニスとクロエーの世界は、とても単純だ。 現実はこうはいかない、と言いたくなるようなことばかり。 でも、この昔話のなかに、人間の本質を垣間見る時、 人間のもつ単純さが愛おしくかわいく思えてくるのだ。