今まで本当にありがとう。

先日、父が亡くなった。 

私の人生の指針であり、精神的支柱であり 
すべてをかけて、信じることができた 
大きな大きな人。 

母が亡くなってから5年。 
心細さや寂しさ、虚無感と戦いながら 
私は父のことだけを考えていた。 
父を守ることだけ。 
でも、何もできなかった。 

私たちの目にその絆が見えるほど 
愛しあい、信頼しあい、お互いを必要としていた私の両親。 
母の病によって、その死によって私たち家族が打ちのめされて5年。 
父もまた、母と同じ病気になって、1年とたたずに逝ってしまった。 

父の体に巣食った病は、ちょうど5年前くらいにできたものだと 
医者にいわれた。 
その瞬間、思わず家族で顔を見合わせた。 

抗えない運命のようなもので 
父は逝ってしまったのかもしれない。 
でも、そのどうしようもない大きな力に 
負けそうになりながらも頑張り続けてくれた父。 
母のいない5年の間、そして病に侵されてからも 
父は私たちのためだけに、笑顔で人生を楽しもうとし続けてくれた。 
頑張り続けてくれた。 
笑顔を絶やさず、最期まであきらめず、粘り強く戦い続けてくれた。 

お父さん、本当にありがとう。 
私はこの8カ月、お父さんの頑張りを応援させてもらい 
ずっとそばにいて、寄り添わせてもらい 
本当に幸せだった。 

奇跡を見たかった。 
でも、希望がないと言われながら、予想された倍もの月日を 
家で過ごすことができたことは、私が望んだものとは違ったけれど 
奇跡と呼べるのかもしれない。 

“本当によくやってくれる” 
“お父さんは幸せだよ” 
妹と二人で父に寄り添い、励まし、頑張り続ける私に 
親戚や父の友人は皆こう言ってくれた。 
私は必死だったのだ。とにかく、まだ、逝かないで。 

父が希望を捨てかけたことが何度かある。 
決して人生を捨てない、信念を貫いてきた強い強い父が、 
初めてもらす、泣き言だった。 

「誰にほめられなくてもいい、誰にみとめられなくてもいい 
 お父さんのことが大好きだから、だから絶対にあきらめたくないだけ。」 
声を上げて泣いた私に、父は涙を流しながらこう言った。 

「生まれてから今までずっと、愛し続けてくれてありがとうね。」 

そうだ。 
私は生まれてからずっと、父を敬い、憧れ、愛してきた。 
そのことを、父に知っててもらえてよかった。 
大事な人を失ったことの悲しみよりも今 
出逢えたことの幸せを、心から感謝している。 

皆に尊敬され、愛された父。 
めったに涙を見せない私の相方は、葬儀の席で号泣して 
周囲を余計に泣かせていた。 

亡くなった次の日の通夜には 
予想を遥かに超えた、たくさんの弔問客が訪れてくれました。 
それはお寺の住職も驚くほど。 

顔を見せてくれたみなさま、本当にありがとうございました。 
心から御礼を申し上げます。 

父の大きさをまたひとつ、感じることができた日。 

※父が病と闘い始めた5月から、ずっと更新できなかったブログ。 
 私の気持ちがそのまま反映しているこの場所で、 
 書けることなんて何もなかったから。 
 今の気持ちを残しておきたくて、ふらり再開です。 
 これからも、明るく、楽しく、逞しく。日々、こうありたい!