すっかり春のようですね。

知らないうちに雨が降っていた。 

傘を持たずに出勤した相方が 
メールをしてきて気付いた。 
外に出たら、春のにおい。 

雨が降ったら、季節がわかる。 
雨が新しい季節のにおいを連れてきてくれるのだと思う。 
とびきり寒かったり暑かったり 
盛りのうちはもちろん晴れていても 
感じられるけれど、徐々にやってくる変わり目は。 
地面や空気が湿って、その立ち上ったにおいで気がつくみたい。 

今日は春だった。 

この冬は本当に温かくて 
それは不安になるくらいだった。 
冬はとびきり寒い方がいい。 
温暖化という言葉がもう耳に慣れて久しいが 
地球の未来を憂うのはもちろんだけれど 
やっぱり今を生きる私たちにとっても、 
「過ごしやすいからいいね」ではなくて 
日本に住んでいるのだもの、 
四季を感じて過ごすことはとても大切なことだと思う。 

おかげで今年の冬はどこか不安な気持ちで過ごした。 
帽子をかぶって外に出たのなんて、数えるくらい。 
この変な状況を 
どうにかしたいけど、どうにかできるかもしれないけど 
いかんせん一人の力ではどうしようもなくて 
かなりはがゆく、おそろしい。 
そこまで思っていたのに。 

今日、春のにおいの外に出たら 
なんだかうれしかった。 
その気持ちに我ながら驚く。 
ましてや春って好きじゃないのに。 
毎年、こわいくらいに思っていたのに。 
それでもやっぱり少なくとも、 
春だ、と感じるこの瞬間だけは 
私は愛しているのだなあと 
気付いてしまった今日なのだった。